米国で働く人(特に投資銀行で働く人)にとって、Salary / Bonus の意味合い は大きいと常に感じます。転職の時のSalaryのNegotiationはもちろん、GlassdoorやOpenworkなどの求人サイトにSalary Rangeが書いてあるほか、NY州では2022年6月より求人要項(Job postings)に雇用主は1)SalaryのRange、2)Promotion、3)Transferの有無などについて記載しなければならないという法律が制定されたこともあり、感覚が鋭くなっている気がします。

Salary Range の表示例
<Salary Rangeの表示例>

前職の商社時代もBonusのタイミングはソワソワしたり、一喜一憂したり、同僚と見せ合いをしたりしましたが、投資銀行に入ってからは同僚の並々ならぬBonusに対する思い入れを感じたエピソードがあります。

2021年は、米国の投資銀行は好調な株式市場、COVIDの一旦の落ち着きも相まってディール数が多く、2008年以降最高益を記録していたため、どこの投資銀行のBonusもバブリーな様相で市場全体が浮足立っていたように感じます。

私の職場は、何故か3月の第一週水曜日がComps Discussion Day でした。Comps Discussionの流れとしては、MDやRM(Resource Manager)から今年度のBonus、評価について伝えられ、その後来年度のSalary、期待Bonusについて話します。

2021年のCompsの時には、私はMBA卒業年度ということもありStub(フルでもらうのではなく、半年分の支給)であったし、Prefixであったので特段のサプライスはありませんでした。一方、私の同僚は、Comps Discussion終了後にストライキのごとくオフィスを出てその日は戻ってきませんでした。


色々な人に聞いてみると投資銀行の世界では驚くほどジュニア層で自分の給与について意見交換をオープンにする文化が根底にあることが垣間見えました。

  • ジュニアバンカー(Analyst, Associateタイトル)だとルームシェアで友人と同居している場合が多く、その場合に同業他社の人と一緒に住んでいると自然とComps day 前にBonusの水準がわかってしまう。

  • 特に労働時間が長い職種のため、金銭的なリワードが圧倒的な労働時間のインセンティブになるので、価値基準・自分の評価として意識する。

  • 行っている事業や役割期待が原則競合他社でも変わらないので、自分と同等タイトルの人の給与が気になり、良ければ他行に移ることを真剣に検討するカルチャーがある。

  • 以下の様なメディアが他社のボーナスや給与水準をリサーチし、公開してしまうことから比較をしやすい状況にある。(情報提供をする人がいるというのも驚き…?)

<Litquidity>

https://shop.litquidity.co/

<給与テーブル>

https://docsend.com/view/rkzhgb8jxx82csky

他社と自社は、Bulge vs Boutiqueでも違いますし、他の事業があるかどうか、そもそも個人のPerformanceの差異があるので、簡単な横比較が適切だとは個人的には思いません。また、誰とどのようなチームで働くかは定量的に判断できるものではないので、自分の判断のあくまで一基準に留めておくくらいがよいのではと思っています。

私の話はあくまで一例ですが、ローカルでいかにSalaryやBonusというものに対して重きをおいているか感じさせるイベントでした。